世界的な景気後退で大企業まで昇給なし、ボーナスカットという世知辛い昨今。節約の必要に迫られる人々が多い中で、人気を集めている食材が「もやし」だ!
もやし居酒屋”のもやし入り「だし巻き卵」(609円)
「もやし」といえば何よりも魅力的なのはその安さ。貧乏生活を送る学生時代などに自炊でお世話になった人も多いだろう。現在「雪国もやし」で有名な雪国まいたけでは、09年3月単月の出荷量が前年対比で15%アップしているという。
「通常『もやし』の年間の需要の動きとして、野菜の端境期となる3月、5月、10月などに増える傾向があります。ですが東京都中央卸売市場の出荷データなどを見ても、昨年のリーマンショック以降に例年とは異なる出荷の伸びがあり、生活防衛意識が高まるなかで安い食材の代表格として人気が高まっているものと思われます」(雪国まいたけ マーケティング部)。
こうした動きの中、女性生活情報誌やTVの情報番組でも節約食材としてもやしが取り上げられ、調味料メーカーからも「もやし専用調味料」の新商品が増えている。料理レシピのサイト「COOKPAD」でも1万2000件を超える「もやし料理」のレシピが寄せられるなど、人々の“もやし熱”は高まるばかりだ。
だが、もやし人気の要因はその安さばかりではないようだ。渋谷にあるもやし料理を多数取り揃える居酒屋「おかずとおさけ『もやし』」は、若い女性客を中心に人気を集めている。そのキーワードは“美”だという。
「もやしはたんぱく質やビタミンCなどを含み栄養豊富でヘルシー。美容関係のお仕事をされている方から人気があり、そこからクチコミで女性のお客様が増えています」とは店長の村上さん。ちなみに、店ではもやし入りの「だし巻き卵」(609円)や「ゴーヤチャンプルー」(735円)などが人気メニューだ。
このように、もやしは栄養素も高く美容にもよく、おまけに値段も安い。某有名ラーメンチェーン店では、もやしを大量に盛ったラーメンを食べたら、もやしだけで腹がいっぱいになり麺までたどり着けなかったという人もいるほど、食べていても飽きない。
今までの地味なイメージから、一躍時代が求める食材になりつつある「もやし」。不景気の中、どんな新しい展開を見せるのか注目を集めているもやしはいろいろな栄養素をふんだんに含んだヘルシーな食品です。種に蓄えられたデンプンや脂肪、タンパク質など、潜在的な栄養素が加水分解されて、もやしになる段階でエネルギーを放出しながら細胞や組織を作って成長するという特徴があるのです。
さらに、新陳代謝をする過程で、それまで含まれていなかった新しい栄養素が合成されていきます。発芽というメカニズムには、私たちには図り知れない、複雑で神秘的な反応が起こっているのです。